物理
共通テストに向けてどのような学習を行えばよいのか、河合塾講師からの学習アドバイスをご紹介します。また、共通テストの設問別分析や平均点の推移などをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
河合塾講師からの学習アドバイス
物理学習アドバイス
大学入学共通テスト物理では、問題文が長く、状況を把握するのに時間がかかる問題、問題集等によくある典型問題ではない、思考力を要する問題、実験に関する問題などが出題されます。こういった問題で高得点を取るための、具体的な学習方法を三つ紹介します。
- 1.基本的な法則を正しく理解しよう
- 見慣れないタイプの問題を解くためには、物理の基本的な法則を正しく理解し、身につけていなければなりません。その際、公式や法則を丸暗記するだけではなく、導出できるものについては、導出方法まで含めて理解しましょう。さらに、どんな場合にこの法則が成立するのか、といったことについても理解し、覚えておくようにしましょう。それによって、見たことのない問題でも、どの法則・公式を用いればよいかが素早く正確に見抜けるようになります。
- 2.長い問題文から解答に必要な情報を抽出できるようにしよう
- 大学入学共通テストの問題文は、問題集等にある問題と比べて非常に長いので、状況を正確に把握することが難しくなります。これをできるようにするためには、普段から問題文を丁寧に読み、与えられた物理量を丸で囲んだり、問題文を読むだけでなく図に情報を書き込んだり、自分で図を描いてみたりすることが非常に効果的です。ぜひ、普段の問題演習でも意識してとり入れてみてください。
- 3.追試も含めた過去問や、実験にも積極的に取り組もう
- 共通テストの問題は、教科書や問題集等の問題とは形式や問われる内容が異なり、特に実験に関する問題は毎年出題されています。たとえば、実験で生じる誤差についての問題がよく出題されていますが、このような問題は通常の問題演習ではほとんど目にすることがないため、差がつく問題になっています。このような共通テスト独特の問題の対策として、過去問を、追試も含めて解くことをおすすめします。間違えた問題は、次に同じような問題が出題された場合に活かせるよう、完全に理解するようにしましょう。
また、実験に積極的に参加し、「なぜこの方法で実験するのか」「実験結果からどんなことが言えるのか」「誤差が生じた原因はどこにあるのか」について先生や友達と議論したり、実験レポートを作成することが、実験の問題に対する最善の対策になります。問題演習も重要ですが、実験にも積極的に取り組みましょう。
2025年度共通テスト「物理」問題構成と設問別分析
問題構成
大問 | 分野 | 配点 | マーク数 | テーマ |
---|---|---|---|---|
1 | 小問集合 | 25 | 5 | 各分野の基本問題 |
2 | 力学 | 25 | 5 | 単振り子 |
3 | 熱・波動 | 25 | 6 | A 気体の状態変化 |
B 波の干渉 | ||||
4 | 電磁気 | 25 | 8 | 導体棒の電磁誘導 |
合計 | 100 | 24 |
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設問別分析
- 第1問
- さまざまな分野からの小問集合。問1は、ペットボトルに閉じ込めた空気の状態変化に注目して、山頂の大気圧をふもとの大気圧で表す問題。ボイル・シャルルの法則を用いる。問2は、地球の全質量を万有引力の法則から求める問題で、文字式と数値を共に問うている。問3は、剛体にはたらく3力の合力を求める問題。これは慣れていない受験生が多いと思われる。問4は、電場・磁場中の荷電粒子の運動の速さを比較する問題。電場のみの場合は放物運動、磁場のみの場合は等速円運動になることに気づけばよい。問5は、物質波とブラッグ反射の典型問題である。
- 第2問
- 単振り子の周期を測定する探究活動の問題。問1、問2は小球にはたらく力や単振動とみなした時の変位や角振動数を求める問題である。問3、問4はストップウォッチと光センサーを使用して周期を求める方法について考察する問題である。問5は遠心力による重力加速度の赤道と極での違いを考える問題である。問5の内容は教科書の図中や欄外に書かれている内容で、このような所もしっかり読んでおきたい。
- 第3問
- 前半は気体の状態変化、後半は波の干渉についての問題。気体の状態変化はP-Vグラフの読み取りと、状態方程式、熱力学第1法則がポイントになる。波の干渉は正弦波の式が用いられている。波の伝播に伴って振幅が減少することに注意する必要がある。問6の強め合う条件は、時間差が周期の整数倍になっていることを意味している。
- 第4問
- レール上を動く導体棒に生じる電磁誘導の問題。前半ではコンデンサーを含む回路を扱い、問3では回路のエネルギーの流れを考え、誘導にしたがってジュール熱を求めればよい。後半ではコイルを含む回路を扱い、コイルの自己誘導も考慮しなければならない。問7では、理論式と与えられたグラフとの対応を問われている。
共通テスト「物理」平均点の推移
年度 | 2025年度 | 2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 |
---|---|---|---|---|---|
平均点 | 58.96 | 62.97 | 63.39 | 60.72 | 62.36 |
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