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農学(環境系)

※特派員のプロフィールはアンケート回答時点のものです。

何を学ぶの?

農業を取り巻く環境を考える

農業の周辺環境の観点から研究を行うこの分野は、大きく次の3つに分けられる。

「農業工学」は、環境に配慮しながら農作物を効率よく生産するための技術を研究する。トラクターやビニールハウスなどの農機具や施設を研究する農業機械系と、農地や水資源環境の整備を研究する農業土木系がある。

「森林科学」は、森林資源の保全や育成、利用などについて学ぶ。研究テーマは、地域固有の問題から地球温暖化や酸性雨、砂漠化などの地球規模のものまで多種多様だ。

「農業経済学」は、日本や世界の食料生産・流通・消費システムなど、農業を社会科学の視点から研究する。TPPなど農産物貿易をめぐる国際的な問題も扱っている。

大学選びココがポイント

農業工学・森林科学は、生物環境、地域環境、緑地環境学科や農学科にあるコースで学べるが、設置している大学はそれほど多くなく、とくに私立大は数が少ない。実習・実験に関する設備や演習林などについても調べておくとよいだろう。

農業経済学は農業経済、食料環境経済といった学科で学ぶことができる。

先輩たちの時間割

東京農工大学 農学部 地域生態システム学科 2年 Y.N.特派員の時間割

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日
1限 Essay Writing 水文学 森林生態学
2限 微分積分学II 植生管理学 測量学 English Presentation
3限 環境哲学 生物学実験 電磁気学 測量学実習 環境土壌物理学
4限 バイオマス利用論 動物生態学
5限 地域生態システム学Ⅲ
6限
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※2年次前期の時間割

おもしろい講義 「水文学」

水について気象学的な見方をしながら学ぶ授業。最初森林の中の立ち位置である水について扱うのかと思っていたので、気象(天気図やフェーン現象など)的な要素の強い授業に驚いた。生活に役立つような情報も学べるし、とにかく先生が面白くて毎回楽しみな授業です。

こんな研究しています

京都大学大学院 農学研究科 修士課程 めっと特派員

大葉の病害虫被害を画像から検出する機械学習モデルの作成と評価

農業で避けられない病害虫被害の最小化と農薬の過剰利用の防止を両立させるためには被害を早期に発見し、対策をする必要があります。現在は農家が目視で被害の有無を確認していますが、労力がかかる、初心者には種類の判別までは難しいなど課題があります。したがって、この研究の目的は人手なしでオオバの病害虫被害を検出し農家に知らせるシステムを作ることです。卒業研究では実際にオオバの画像を撮りに行き、それらをYOLOv5によって学習させました。撮影枚数が90枚弱と少ないため、最初は精度が低かったのですが、背景を省いて学習対象の葉のみを切り取る、データ拡張をすることでデータ数を増やす、など工夫をしたことで葉1枚のみの画像の病害虫の種類を判別する精度は0.88まで上がりました。今後の研究として実際の栽培現場で検出出来るように沢山の葉がある画像での被害の検出精度を上げる、また、環境データと組み合わせて病害虫の発生予測をすることを考えています。そのために、撮影・モデルの作成方法を改めて検討しています。

コラム~農業のスマート化~

多くの人が知っているとおり、日本の農業が抱える問題は多い。食料自給率は先進国の中では最低レベルだ。頻発する異常気象、農業従事者の高齢化や農業離れによる人手不足など問題は年々深刻化している。そこで注目されているのが、「スマート農業」だ。ロボット、AI、IoTなどの先端技術を活用することで、農作業の省力化と農業技術の継承をめざす。企業と大学による共同研究も盛んだ。

世界の実用例をみてみよう。たとえば、オランダは国土が狭く、年間を通じて低気温で日照時間も短いという農業には不向きな国だが、先端技術を活用した農業が盛んだ。ハウスや温室での栽培が主流となっており、気温や湿度、日照状況などをすべてコンピュータで管理。さらにLED照明を利用することで、短い育成時間での収穫・出荷を可能にしている。ほかの国でも、高層ビルを利用した垂直農業や海水を利用した砂漠での栽培など、各国がそれぞれの条件下で効率よく生産できる技術開発を行っており、ハイテク化によって農業に適さない環境でも多くの作物の収穫が可能になっている。

日本においても、近年このような技術の開発・実用化が進んでいる。自動運転の田植機や自律走行の無人草刈機、田んぼの水量を制御するシステムといった作業の省力化を図るものや、稲の生育データをもとに最適な肥料量を計算するシステム、AIを用いた病害虫診断アプリといったデータを活用して農業の高度化をめざすものなど、実用例はさまざまだ。熟練農業者の技術を次世代に継承するため、ICT・ロボット技術を活用する動きもある。また、農林水産省が主体となりスマート農業を推進するプロジェクトなども実施されており、今後さらなる発展が期待される分野だ。

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